華麗なる偽装結婚

いや…、駄目だ。
これは俺の会社だ。

突然父さんが病に倒れたあの日から、全てを投げうってここを守ってきた。

いざ就任して蓋を空けてみると赤字まみれだった佐倉物産を死ぬ気で立て直してきたんだ。

…いつか、元気になった父さんに返すために。

一族の中で末っ子で、全てを兄二人に奪われ、何も与えられなかった父が初めて自分の手に入れた会社。

それをここまで大きくし、あと少しで念願が叶うところで父の兄である叔父が佐倉物産の幹部を根こそぎ引き抜いた。

今になって思えばそれも祖父の入れ知恵なのかも知れない。

佐倉物産の経営が、主要幹部の抜けた中で傾いていくのを楽しく傍観していたのかも知れない。


――そんな心労がたたったのか、父は心臓麻痺で呆気なく倒れた。



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