華麗なる偽装結婚

パッと身体を離して彼女を見下ろす。

「……」

彼女は今の短い会話の全てに突っ込みたいような顔をして俺を見上げている。

何から話せばよいか分からない、とでも言いたげだ。


「阿美子ちゃん、ちょっと付き合って。
お願いがあるんだ」

「あ、あの…」


一階に到着したエレベーターの扉が開く。

正面玄関前に停まったベンツに彼女を押し込む。

運転手に言った。

「料亭『柏』じゃなくてホテルニューオリンズ佐倉に行ってくれる?」

「はい。かしこまりました」

「社長!?」

「いいから、いいから」



< 67 / 252 >

この作品をシェア

pagetop