華麗なる偽装結婚
「…は…。
あの………冗談……ですよね」
「全力で本気なんだけど。
叔父から会社を取られなくて済む方法はこれしかない。
駄目………かな」
彼女は唇をカタカタ震わせて青ざめている。
まあそりゃ………驚くか。
「阿美子ちゃん?」
俺は彼女の顔を覗き込んで呼び掛けた。
すると大きな潤んだ瞳がキョロリと俺を見上げた。
「だっ………駄目に決まってるじゃないですか!
何でそんな事……!
私をバカにしてるんですか?!
好きでもないのに結婚だなんて!
だいたいそんな芝居で会長を騙せるなんて思えないわ!」
彼女は首をブンブン振りながら言い切る。
「………そうかな。
君が完璧に役をこなせばじいさんを欺く事くらいは朝飯前だと思うけど?」