愛を教えて
そして、尚子は妹の発言に一瞬たじろいだが、すぐに手を叩いて賛同する。


「ええ、それはいい考えですわ。卓巳さんもそれなら文句は……」

「断る! 叔母上はご存じないようだが、そういった類の検査では百パーセントの結果は得られない。そんな不確かなものに、万里子を関わらせるつもりはない! それくらいなら、僕を不能者だと呼んでくれ!」

「……検査を受けたら、卓巳さんとの結婚を認めていただけますか?」

「万里子!」


怒りに声を荒げる卓巳の隣で、万里子はとんでもないことを言い始めた。


「ええ、あなたと卓巳さんが、すでにご夫婦同然の関係だとわかればね」

「わかりました。検査を……受けます」


卓巳は眩暈を覚える。
叔母も叔母だが、応じる万里子の考えもさっぱりわからない。


「万里子、君がそこまでしなくてもいいんだ。結婚を認めてもらうのは僕の役目だし、第一、検査ではっきりしたことは」

「でも、検査を受けたら認めていただけるのでしょう? 私は、あなたの妻になれるのならなんでもします。卓巳さん……私は、あなたを……愛しています」


万里子の瞳からダイヤモンドのような雫がこぼれ落ちる。

それはガーデンルームに射し込む光に反射して煌めいた。


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