愛を教えて
(どこからこんな力が出てくるんだ……)


卓巳は、追い詰めた獲物の反撃に焦りを感じていた。
ソファに深く座り直し、いささか投げやりに問い返す。


「まだあるのか? いったいなんだ?」

「私には……男性経験があります。中絶も本当のことです。何もなかった顔をして、見合いの席につくのは恥知らずかもしれません。でも、不特定の男性と遊んだかのような、そんなふうにおっしゃるのは止めてください!」


それは、いかにも几帳面で潔癖な性格に思える万里子らしいこだわりようだ。
卓巳が黙ったままでいると、


「私は、ふしだらな行いはしておりません! 訂正してくださるまで、サインはいたしません!」


弱々しい子うさぎのように思っていた。ところが、今の万里子は光り輝いている。それは、神々しいほどの輝きだ。


卓巳は彼女の姿に見惚れそうになり……。

ふと我に返ったとき、瞬く間に動揺が怒りへと姿を変えた。


「では、なんのために男に抱かれた?」

「……それは……」


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