愛を教えて
「えっ? まさか……事故?」

「私は深夜に警察に呼び出され……驚きました」

「卓巳さんは、ご無事ですよね!? 命に別状はないとおっしゃって!」


宗は万里子の必死の問いかけに、苦悩の色を浮かべ答える。


「それが、大変なことになっていまして。医者が言うには、お命に関わる可能性も、と。どうか私と一緒にお戻りいただけませんか? 社長のために」


万里子は足元が崩れるような感覚に襲われた。


(私のせいだわ。私のせいで卓巳さんが……)


「行きます。すぐに。お願い、卓巳さんのそばに連れて行って!」

「えっと、あの……少々、様子が変わっておられまして、驚かれるかも知れませんが……」

「構いません! 生きてさえいてくだされば。私が一生、卓巳さんのそばに寄り添います!」


万里子は宗を急かすようにリムジンに飛び乗った。

後方では何ごとだとばかり、父や忍が声高に叫んでいる。だが、万里子の頭にあるのは、傷つき横たわる卓巳の姿だけだった。


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