愛を教えて
行く先などあるはずがなかった。

首都高速なら、路線さえ間違えなければ延々走っていられる。
そんな情報を耳にして、卓巳はドライブデートに首都高速を選んだ。


万里子が世間一般のデートの経験がないように、卓巳にもその方面の経験は少なかった。

『婚約しました』

と、いきなり自宅に連れ帰っても怪しまれるだけであろう。


周囲から祖母の耳に入り、連れて来なさい、と言われるのが最も望ましい形である。

それを目論み、わざわざ宗を使って噂好きな女子社員に行き渡るようにしたのだ。

彼はおそらく付き合いのある朝美に“ナイショ”と言って卓巳の結婚相手のことを話しただろう。

祖母をはじめ親戚たちの情報網にかかるのは、そう遠いことではない。


その日のために、デートという既成事実も必要であった。


『うーん。ドライブ辺りが無難ではないですか?』


宗のアドバイスを素直に受け入れ、卓巳はドライブを実行している。


(本当にコレでいいのか? 何か、根本的に間違っているんじゃあるまいな)


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