愛を教えて
「しかも、なんでお嬢様狙いかわかる? 病気の可能性がないからだって。アイツ、コンドームなしでやりたくて、そういう子ばっかり騙すみたい。鬼畜でしょう? 我がイトコ殿は」

「待ってください、静香様! それは違います。勘違いなさってます」



――イトコがホテルの部屋に女を連れ込んだ。


このとき、静香は大きな誤解をしたのである。

静香のいうイトコは従弟であって従兄ではない。早い話、彼女は伯母の息子にあたる、藤原太一郎《ふじわらたいちろう》を想像していた。

だが、静香がそんな誤解をしても無理もないところだ。普段から、この部屋は太一郎か静香が使っていた。

これまで、卓巳が利用したことは一度もない。

さらに言えば、静香は以前もこの部屋で、太一郎の女と鉢合わせしたことがあった。


同じイトコでも、卓巳は難攻不落の堅物。

静香のことなど歯牙にもかけない。その卓巳が女性を連れ込んだとは夢にも思わなかった。


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