愛を教えて
万里子は膝の内側がベッドの縁にぶつかり、ストンとベッドに座り込んだ。卓巳は手も唇も離さず、万里子のあとを追いかけ、キスを続けた。


「あの、あの……卓巳さん」


キスの合間に万里子は卓巳の名を呼ぶ。


「なんだい? ああ、“ごめんなさい”はいらない。“愛してるわ、卓巳さん”なら言ってもいい」

「あ、愛してるわ……卓巳さん」


万里子は、唇が離れた隙に急いで口にする。卓巳はそれが嬉しくて堪らない。


「その調子だ。愛してるよ、万里子」

「あの……指輪が」


万里子は自分の左手に、結婚指輪が戻っていることを口にしたいらしい。それは、このホテルに着いてすぐ、卓巳が彼女の指にはめたものだ。


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