愛を教えて

(11)君が教えてくれたこと

デパートでショッピングを楽しんだあと、万里子はひとり、タクシーでホテルに戻る。

卓巳は会議に出席するため、そのままシティの本社に向かった。そして、フォークナーとの合同記者会見に臨んだ。


会見には規制改革省の役人も同席し、万里子が見たのは夕方のテレビのニュース。映し出された場所は、メイフェアにあるライカー所有のホテル……だったはず。

ところが、ライカー社の名前は一切なく、『合同記者会見は、ミスター・タクミ・フジワラがオーナーである……』とホテル名が言われ、万里子は訳がわからない。

万里子はその記者会見により初めて、ジェームズ・サエキが背任、横領の罪で逮捕されたことを知る。ライカー社をはじめ、収賄の証拠も多数あり実刑は免れないとニュースキャスターは言っていた。

同時に、ライカー社の担当者は贈賄で逮捕。公益事業の職権濫用が発覚して、ライカー社はライセンスを剥奪された、と報道された。

画面には社長としての責任を追及され、レポーターに追いかけられるライカーが映し出される。万里子は眉を顰めテレビの電源を切ろうとした。


『レディ・アマンダはあなたと離婚し、息子の本当の父親と結婚するとおっしゃっていますが事実ですか? サマセット伯爵はその件について……』


ひと言も答えず、ライカーは記者を押し退けるように歩いている。彼がドアの内側に姿が消えたとき、なぜか、万里子はホッとしたのだった。


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