碧いボール


  芦田Side
あ・・・。
相川の話を聞き終えて、俺は・・・何というか、申し訳ない気持ちになった。
俺よりも、悩んでいる中学生がここにいる。
それなのに俺は、自分が世界で一番不幸な人間だって信じて疑わなかった。
まだ中学生なのに。
たかが人生の一部の部活の中で、キャプテンを務めているだけなのに。
それだけでこの人は、想像を絶する悩みを抱えているんだ。
家のこともある。
それは、キャプテンとは全く関係のない話だけど、でも、それだけでも辛いはずなのに・・・。
そこまで考えて、俺はマイナス思考をストップさせた。
相川に話してよかった。
俺は明日から、まじめに顧問として出席する。
俺のトラウマは、もういないんだ。
そう思って、車に乗り込んだ。
大好きな歌手の曲をBGMに、俺は明るい未来を想像した。
あれだけの悩みを克服した。
俺にできたんだから、相川にできないはずがない。
相川もきっと、どうにかして悩みを克服する。
・・・「条件」も、きっとクリアする。

相川だからな。
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