ケイヤク結婚
「すみません」と私は恥ずかしさのあまり、大輝さんの声が聞こえる前に謝った。

『朝早くに申し訳ない』と淡々とした口調が聞こえてきた。

 私の『もし』の一回多い件については、全く気にも留めていないようだ。

「あの…何か」

『今日、君と結婚生活についていろいろと話し合おうと思っていたのだが、どうやらそれが出来そうになくなったので連絡をした』

「はい」と私は頭を上下に振りながら返事をする。

『急な仕事が入ってしまって、いつ終わるかわからない』

「あ、でも。私も今日は仕事なので」

『何時に終わる?』

「午後9時すぎになるかと」

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