君のための嘘
夕方5時ぴったりにドアチャイムが鳴った。


誰だろう……。


出てしまって良いのか……。


戸惑っていると、もう一度鳴った。


ここまで来るのだからコンシェルジェが通したってことだよね。


迷っていると、ドアが開く音がした。


えっ……。


入って来られるとしたら、ラルフしかいないと思うけれど姿を待つ間、不安で心臓がドキドキと暴れる。


リビングルームで突っ立たまま動けずにいると、ラルフの姿を見せた。


ホッと安堵すると、ラルフがひとりではない事に気づいた。


「夏帆ちゃん、ただいま」


違う意味でドキドキさせる笑みを浮かべたラルフの柔らかい声。


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