君のための嘘
「科学的な証拠を突きつけてやればいいのよ」


「そうしたら、夏帆は籠の鳥になってしまう それだけは避けたい 彼女は自由に生きさせたいんです」


リリはラルフの願いを聞いて胸が熱く、痛みを覚えた。


「ま、乗りかかった船だから何でも手伝うわよ それにしても原石はぐっすり眠っちゃってるわね」


「ええ、リリさんがかなり飲ませましたからね」


ラルフはフッと笑みを漏らして言う。


「きっと明日は二日酔いだわよ この子」


「長居をしてしまいました リリさん 今日はありがとうございました」


ラルフは夏帆を腕に抱き上げると、玄関に向かった。


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