君のための嘘
当たり障りのない会話をして、食事が終わるとふたりは食器を片づけた。


それからソファに移動して、シャンパンを開けているラルフ。


夏帆はスマートで慣れたようにコルクを抜く姿をぼんやり見ていた。


兄のように接するラルフに夏帆は少し物足りなさを感じていた。


ラルフを愛さないなんて無理だよ……。


ラルフは性的緊張感なんてなくて私は女として見られていないんだなと思ってしまう。


「――ちゃん?夏帆ちゃん?」


「えっ?は、はいっ」


「考え事?ぼんやりしていたよ 何か悩んでいるの?」


悩み……もちろん、これからの事とラルフしかない。


けれど言えない。



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