君のための嘘
冷えた身体を温泉で温めようとラルフは思っていたが、部屋に戻るとちょうど食事が運ばれてくる所だった。


美しい器にもられた上品で豪華な懐石料理だ。


夏帆はすぐに食事になりそうで、ホッとしていた。


まだ戸惑っている夏帆は仲居に邪魔にならないよう隅でコートを脱いでいた。


座卓に揃えられた豪華な料理を見てから ラルフは口を開いた。


「先にお風呂に入るかい?」


身体は冷えたけれど、部屋の中は温かい。


「う、ううん。お腹空いたから先に食べたいけど、ラルフは冷えちゃった?」


「いや、じゃあ先に食べようか」



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