君のための嘘
「夏帆ちゃん……自分の言っていることが分かっている?」


じっと夏帆の瞳を見つめるラルフは罪悪感からか顔を歪めている。


「分かってる! 分かっているから……抱いて……」


夏帆はラルフの首に腕を回した。


「分かっていないよ。抱いても愛情はあげられないんだ……君を愛していない。2年後には別れるんだ」


ラルフは嘘を吐くのが辛かった。


愛している、夏帆ちゃん。でも僕たちは別れなくてはならないんだ……。


「それでもいいのっ! 私はラルフが思っているほど初心(うぶ)じゃない。これでも知識はあるの。男性が快楽の為に女性を抱くこともあるって知っている。だから、私を守ろうなんて思わないで。私はラルフに抱かれたい」


「夏帆ちゃん……」


「ラルフ……もうのぼせそうなの……」


夏帆の腕が自然とラルフの首に巻きつく。


次の瞬間、夏帆はビクッと固まった。


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