君のための嘘
「ほとんど見えない状態で行かせるのは心配ですよ 一緒に付いて行った方が安心です」


「でも……迷惑ばかりかけてしまい――」


「言ったでしょう?困っている人を放っておけない性質なんです」


顔が近づきブラウンの瞳に見つめられて、胸がトクンと高鳴った夏帆は、その鼓動を聞かれてしまわない様に慌てて顔を引いた。


その瞬間、ゴンッ!と、痛い音が部屋に響いた。


「いたっ!……」


半開きになっていたドアの角に後頭部がぶつかったのだ。


夏帆はその痛みに涙目になりながら、痛む後頭部をさする。


「大丈夫ですか!?見せてください」


ラルフは夏帆背後に回ると、頭を押さえる手を外し、慎重に髪の毛を分けて状態を見た。


「赤くなっていますが、出血はしていません 良かった……」


「もう大丈夫です ありがとうございました」


今日はとことんついていない日だ……。


夏帆は心の中でため息を吐いた。


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