君のための嘘
「コーヒーでもいれましょう こちらへどうぞ ソファに座って待っていてください」


ラルフは夏帆の手をつかむと、ソファに誘導した。


手を握られて驚いた夏帆は、気の利いた言葉をひとつも言えずにソファに座らされていた。


ラルフはアイランド型のキッチンに入ると、小さなポットに水を入れた。



******



5分後、夏帆の目の前にピンクのマグカップが置かれた。


「すみません インスタントしかありませんでした」


申し訳なさそうに言いながら、ラルフは斜め前の一人掛け用のソファに腰を下ろした。


「いいえ、インスタントで十分です いろいろご迷惑かけてしまってすみません」


心を落ち着けようとマグカップに口をつけた夏帆だった。


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