君のための嘘
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警察署は歩いても行ける距離にあった。


夏帆は初めてのおしゃれな街を、片手でメガネの縁を押さえ、キョロキョロしながらラルフの後に付いて行った。


隣で歩くより少し離れて歩いた方が、気分が楽だった。と言うのもラルフが通行人に注目をされているようだったから。


視線を感じて見てみると、数人の女性たちがラルフを見ていた。それに通り過ぎる女性も。


最初は自分姿が、おかしいのだろうかと思ったけれど、彼女たちはラルフを見てひそひそ花を咲かせているみたいだった。


まあ、ラルフの容姿なら無理もない。超が付くくらいの美形だから。


そんな彼に自分のような冴えない女が歩いていたら不釣り合いだと思い、夏帆は自然と少し遅れて歩いていた。


前を歩くラルフは突然立ち止まると、振り返り夏帆を見た。



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