君のための嘘
ペットボトルを受け取り飲む姿も、ラルフの目には恥じらいが見える。


その姿が可愛く、抱きしめてやりたい。


ラルフは思うのだが、過剰に愛情を注いではいけないと思い留まる。


「寝ようか」


「うん」


夏帆は枕に頭を落とした。


ラルフも隣の枕に頭を着ける。


夏帆は抱き寄せてくれることを期待していた。


先ほどの甘い時間を過ごしたのだから当然寄り添って眠るものだと思っていた。


だが、ラルフは枕に頭を着けると目を閉じてしまった。


心に重くのしかかる悲しみ。


やはり愛されていないのだと実感してしまう。



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