君のための嘘
「夏帆さん、僕の歩くペース、早いですか?」


「えっ?い、いいえ」


「なら、隣に来てください」


「それは……」


「それは……?」


ラルフは首を傾げて見た。


「あ、私なんかが一緒に歩いていると……」


「私なんか?意味が分からないですよ」


「わからなくて結構です!い、行きましょう」



******



警察署でバッグの紛失届を出した。


落としてしまったのを、誰かが持って行ってしまったのかはわからないけれど、あのカバンと中身が見つからなければ、夏帆は身の振り方を考えなくてはならない。


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