君のための嘘
「夏帆さん?」


ラルフは黙り込んでしまった夏帆の顔を覗き込んだ。


「えっ?」


突然、ラルフの顔のアップに夏帆はハッと我に返った。


「行きましょう」


ラルフの言葉に夏帆はコクッと重い頭を動かすと、とぼとぼと出口に向かった。


自分が惨めだった。


俯きながら歩きはじめると、夏帆の肩がラルフの長い腕に包まれた。


「ラ、ラルフさんっ?」


ラルフの腕に驚いた夏帆は素っ頓狂な声を上げた。


「行きましょう」


ラルフは微笑むと、少し強引に歩き始めた。


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