君のための嘘
どこを歩いているのか全く分からないけれど、来た道を歩いているのではない事だけはわかる。


両側にいろいろなショップが立ち並び、歩く人とぶつかりそうなくらい人通りが多くなったから。


「ラルフさん、どこへ……?」


仰ぎ見なくちゃいけないほど背が高い彼は、立ち止まり私を見下ろす。


「そのメガネでは不便でしょう ああ ちょうどありました!あそこに入りましょう」


ラルフが指を指す先に、おしゃれなメガネショップがあった。


「ラルフさん、ダメっ!」


数日はお世話になって、結果的にはお金も使わせてもらうわけだけれど……。


「夏帆さん、気にしないでください 返せる時が来たら返してくれればいいんです」


その言葉に私は下唇を噛んだ。


返せる時……。


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