君のための嘘
「入院するほどではないので、ここで回復させますよ」


ラルフには次の祖母の言葉が分かった。


「我が家で休養させたいのよ」


ラルフの思った通りだった。


「あんな目にあって、本家へ行きたいと思いますか?」


「DNA鑑定をして、健次さんの子供であれば我が――」


「おばあ様! 彼女は義父の子供であることを望んでいません。それどころか、すべてを否定された過去を知り、混乱しているんです。そんな彼女が霧生で暮らせると思いますか?」


ラルフは片手をこめかみにやり、重いため息を吐く。


祖母は黙ったままで、何かを考えているようだ。



< 366 / 521 >

この作品をシェア

pagetop