君のための嘘
部屋へ通した祖母の顔色は悪かった。


話をするのに、ラルフは自室の寝室を選んだ。


夏帆の部屋に近いリビングで話をして、会話を聞かせたくない。


祖母はラルフの寝室に入ると、ウェディングの大きなパネルに引き寄せられるように近づいた。


しかし、そのパネルを見ても何も言わない。


「おばあ様、驚いたのも無理はありません」


部屋の隅の1人掛けのソファに祖母を座らせると、自分も対面のソファに腰を下ろす。


「あの子は……大丈夫なのですか?」


「体調はまだ良くなっていません」


「入院をさせないで大丈夫なのですか?」


そう言うからには夏帆の事を気にかけているのだろう。


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