君のための嘘
祖父は東都医大の特別室に入院している。


病室を訪れたが、祖父は眠っていた。


恰幅の良い紳士と言うイメージの祖父。


ベッドに横たわる身体は今では見る影もない程、やせ細っている。


貴方は孫の存在を知ることなく死んでいくのでしょうか……。


あと数か月の命。


霧生ホールディングス社にすべてを注いだ人生。


若くして息子を亡くし、僕を跡取りとして育てることを生きがいだったと。


僕も応える為に努力した。


でも、その努力も無駄に終わりそうです。


ラルフは祖父の手を優しく握ると病室を離れた。


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