君のための嘘
ラルフは夏帆の好きなケーキを買ってマンションへ戻った。


侑弥からのメールによれば、夏帆ちゃんは一度も部屋から出ていないと。


ラルフが外出しているのも、おそらく知らないだろう。


******


「夏帆ちゃん」


夏帆の部屋に入ると、夏帆はベッドの端に腰掛けていた。


突然ラルフが入って来て驚いたように目を大きくさせている。


シャワーを浴びたようで、髪がまだ濡れている。


「シャワーを浴びたりして、大丈夫だった?」


「……」


夏帆は視線を合わせないようにして、肩から掛けたタオルで髪に水分を取るようにあてている。


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