君のための嘘
夏帆の身体に覆いかぶさるようにラルフがいる。


今にも泣きそうな眉間に皺を寄せて夏帆を見つめている。


「ラルフ……?」


「夏帆ちゃん……君には負ける……約束してくれ どんなことがあっても自分の命は大切にして欲しい」


「それって……?」


「侑弥の話は全部本当だよ 僕の余命があと2年余りだという事も」


ラルフの下で夏帆の口から小さな悲鳴が漏れる。


そうなんだろうと思っていたけれど、実際にラルフの口から言われると、あの残酷な宣告は現実味を帯びた。


「僕は君にたくさん嘘を吐いてきた……もう、嘘は止める 君には敵わないから……愛しているよ 僕の全身全霊をかけて」


「ラル……フっ……」


嘘は止める……私を愛している……。


愛することがこんなに辛いものだとは知らなかった。


泣きやんだ瞳は再び潤み、瞬きをすると目じりを伝わりベッドを濡らす。


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