君のための嘘
「……ラルフ?」


ラルフを伺うような囁きに近い夏帆の声。


僕は死ぬまで君と居てもいいのだろうか……。


自分が良ければ、夏帆ちゃんの気持ちはどうなってもいいのだろうか……。


僕がいなくなれば、君を守る者はいなくなる。


生きたい。


君との幸せを守るために生きたい。


幼い頃、辛い思いをして過ごした夏帆ちゃんに再び辛い思いをさせたくない。


「ラルフ?く、苦しかった!?」


呻き声を上げただけで、身動きしないラルフに夏帆は我に返り飛びのこうとした。


その時。


ベッドに沈んでいたラルフの腕が夏帆の背中に回った。


力強く抱きしめられたと思った夏帆の身体は、反転させられ逆の体制に変わっていた。


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