君のための嘘
「最悪……」


こんな顔をラルフに見られたなんてっ!


夏帆は冷たい水で顔をバシャバシャと何度も洗う。


「それでは、腫れは引かないよ」


顔を上げると、夏帆の後ろにラルフが立っているのが鏡を通して見える。


くるっとラルフの方に向かされると、ふかふかのタオルで水滴を拭われ、そして「熱い!」と思うほどのタオルが目に当てられる。


でもその熱さはすぐに気持ち良いに変わった。


「暖かいタオルと、冷たいタオルを交互に目に当てるといいよ」


キッチンに移動したラルフと夏帆はしばらくその作業を繰り返した。


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