君のための嘘
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心臓病の種類がこんなにあるとは思っても見なかった。


ラルフはこの中のどれなんだろう……。


分厚い心臓病の書籍を手にして、夏帆はあ然となった。


食事療法も大切で、特に塩分を控えた方が良いとある。


夏帆は読みやすそうな本を買った。


マンションに戻る途中、黒塗りの車が少し先の道路脇に停まったのが目に入る。


そして出てきたのは着物を着た年老いた女性。


おばあ様……。


「夏帆さん、もうお加減が良くなられたのね?」


「……はい」


「そう、良かったわ これから会社に行くのだけれど、良かったら会社を案内したいの 貴仁さんの所にも行きましょう」


すでにラルフに会いたくて仕方なかった夏帆は、躊躇ったものの黒塗りの高級外車の後部座席に乗り込んだ。


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