君のための嘘
書店のビニール袋に入り、本にはカバーがされてあるが、見られないとも限らない。


絶対におばあ様が見たらっ!ダメなのにっ!


気が急いてしまい、廊下に出たもののどの部屋だったか覚えていないことに気づき、更に夏帆の顔が青ざめる。


「夏帆ちゃん、落ち着いて こっちだよ」


ラルフはキョロキョロする夏帆に安心させるように言い、手を握った。


夏帆の手は震えていた。


「どうしよう……何の本かわかったら、知られちゃう」


「大丈夫だよ 知られたとしたら良い機会だよ いずれは知らせなくてはならないのだから」


夏帆の手を握るラルフの手が励ますようにグッと力が入る。


「でも……」


廊下の角を曲がった所で、本を抱えるようにして持つ祖母がこちらに向かって歩いていた。


祖母の後ろには畑中もいる。


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