君のための嘘
「夏帆ちゃん……」


先を約束できないラルフは子供を作ってはいけないと考えていた。


自分が死に、いつか夏帆が再婚する時、自由でいられるようにと。


「私……赤ちゃんが出来たら、すごく嬉しい……大事に……あなたとの子供……育てるから……」


大粒の涙を夏帆は流していた。


「お願い……宝物が欲しいの……」


夏帆は上体を起こし、切ない表情を浮かべるラルフに抱きついた。


「……夏帆ちゃん 悲しませてすまない……宝物、あげられるかわからないけれど、僕も欲しい」


切に願う……普通でいい……愛する人たちに囲まれて暮らしたいと……。


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