君のための嘘

愛しい人の為の決心

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「夏帆ちゃん、話があるんだ」


ラルフがそう言ったのは、孤児院に出かけた日から数日後の夕食が終わってから。


「話……?」


ラルフは夏帆をソファに座らせると、自分も隣に腰を掛ける。


「……夏帆ちゃん、手術を受けることにしたよ」


「えっ?」


「と言っても、手術が出来るかわからない 心臓移植を受けるつもりだから」


「心臓移植……」


夏帆は突然の事に話が呑み込めない。


「心臓移植って……死んだ人の心臓を?」


「そう 正確には脳死状態の人の心臓だけどね アメリカで待とうと思うんだ 日本より向こうの方が事例も多い 僕に適合する心臓が見つかるとは限らないけれど、このまま死んではいけないと思ったんだ 愛する人の為に」


「ラルフ……うん、決心してくれて嬉しい 死を受け入れちゃだめだよね 私も一緒に行く」


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