君のための嘘
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見送りはマンションのエントランスまでとラルフは決め、夏帆はいやいやだったが従う。


空港まで見送りたかったが、夏帆を疲れさせたくないラルフの気持ちを汲み取り従った。


エントランスに降りると、侑弥とスーツを着た男性と女性が待っていた。


アメリカの病院まで付き添う医師と看護師だ。


侑弥はラルフのサポートをする為に、しばらく滞在予定だ。


「行ってくるね 出発前に電話するから」


ラルフは泣かないよう懸命に堪えている夏帆を抱き寄せる。


「……うん いってらっしゃい……」


周りに人がいるせいで、気の利いた言葉が言えない。


しばしの別れは昨日済ませている。


ラルフは人目もはばからず、夏帆の顎に指を添えると唇を重ねた。


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