君のための嘘
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一方、ニューヨークにいるラルフは夏帆と通信を終えると、イスに背を預けた。


「言わなくて良かったのか?」


侑弥だ。


「夏帆ちゃんの体調が悪い 今は心配をかけたくないんだ」


ラルフは涙目で話す夏帆の顔を思い出し、苦悩の表情を浮かべた。


悪化しつつある心臓。


まだドナーは見つからない。


このまま見つからないのかもしれない。


夏帆に会えないまま、ここで死ぬのか……。


そう思うと、今すぐ日本へ戻りたい気持ちが強くなる。


「侑弥……僕は、赤ん坊の顔が見られるかな……」



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