君のための嘘
それを手にした夏帆を見てラルフが口を開いた。


「メガネです やはり無いと不便でしょう?」


「ラルフさん……」


こんなにまでしてくれると、心が苦しくなる。


「どうして……こんなことまで……」


昨日、たまたま会っただけの女の子にここまでしてくれる筋合いはないのに。


「なぜでしょうね?夏帆さんを見ていると、何かをしてあげたくなるんです 心配は無用です 襲うつもりはないですから」


確かに襲うつもりなら、昨日のうちに襲われているだろう。


彼は裕福な生活をしているから、お金目当てでもない。


そんな事を考えて、バカだなと夏帆は思った。


私は一文無しなのに……。


「お腹が空いているでしょう?行きましょう」


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