君のための嘘
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ラルフは夏帆を歩いて5分ほどのビルの中のレストランに連れて行った。


そこは気軽に入れるレストランに見えない。


ラルフの後に付いて歩く夏帆は「こんな所でなくても良い」と言う言葉を呑み込んだ。


夏帆を席に着かせたラルフは自分も座る。


レディーファーストが身についているのだろう。自然で嫌味がない。


まるで王子様みたい。


こんな王子様だったら、お姫様になった女の子は幸せだね。


「……何から何まですみません」


「謝らなくてもいいんです 夏帆さんがいなかったらひとりで食事をしなくてはいけないんだから ひとりで食べる食事は嫌なんだ」


「でも一緒に食べる人はたくさんいそうです それに彼女さんもいるし」


人当たりの良さから見ても男女とも友達が多いに違いない。


夏帆の言葉に、ラルフはあいまいに頷いた。


「聞いていいですか?」


「何かな?どうぞ?」


「ラルフさんはどういう仕事をしているんですか?」


「あぁ……普通の会社員です」


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