君のための嘘
彼のおかげで、私は霧生家に行かずに済んでいる。


霧生家……どうしよう……ラルフさんと食事をしているのにまたブルーになってきた……。


「――帆さん?夏帆さん?」


「えっ?ぁ……ごめんなさい」


ぼんやりする瞳をラルフに向けた。


小首を傾げた彼は心配そうな表情をしている。


「また考え事?……俺に迷惑かけているとか思っているんですか?」


「……それもありますけど……やっぱりこのままじゃいけない気がして……」


「夏帆さん、食べましょう」


ラルフは食後のチョコレートケーキを一切れ乗せたフォークを、夏帆の口の前に差し出した。


「ほら?」


まるで恋人同士がやるようなシチュエーションに頬が赤らんでくるのが分かった。


「夏帆さん?」


「あ、は、はい……」


チョコレートケーキの乗ったフォークをパクッと口の中に入れた。

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