君の、瞳に。【短編】
「かえ?」
「…あの、」
何だろう。
上手く言葉にできない。
ねぇ、あっくん…
何でだろう。
「どした?」
「…ご、ごめんね」
パッとあたしは手を離す。
何、腕とか掴んじゃってんだよ。
あっくんが消えるなんて。
そんなこと、あるわけないのに─…
「ま、またね…っ」
不安が消えない───。
「……かえ」
「なに、あ…」
“あっくん”
そう言おうとした言葉は、ある温もりによって消えた。
冷たい感触、
けれど温く感じる熱。
香る、あっくんのにおい。
あたしの頬をさする、濡れた黒い髪。
その隙間から見える黒い瞳がゆっくりと開いた。
「…………ばいばい」