君の、瞳に。【短編】
────何が起きたか分からなかった…。
気付いた時には、あっくんの背中が黒い世界に消えていった。
ザァザァと雨が降っているはずなのに、無音の世界にいるような気がした。
まるで、あの瞬間。
あの一瞬が、何十秒…いや何分も長く感じられた。
「……」
あたしはそっと唇に手をのばす。
───君と初めてしたキスは、雨のせいで、少し冷たくてしょっぱかった……。
「……晴れ、か」
あたしは空を見て呟く。
あの日から、1週間がたった。
この1週間は、ずっといい天気が続いてる。
つまり…ずっとあっくんと会っていない。
「…会いたいな」