【十の瞳】
五年もの間、毎月毎月、人の心を掴んで離さないミステリーを作り上げてきた鬼才。
【マスター】の姿が、そこにあるというだけで。
憧れなんていう言葉では処理し切れなかった。
全員が、食い入るようにじっとモニターを見つめている。
画面から目を離さずに、一心不乱にメモを取り続けている女性までいた。
ありきたりな表現しか出来ないのは苦痛だったが、彼は僕達の【神】だった。
この感情はもはや、崇拝に近いものがあった。
これは宗教だ。
信仰だ。
この身を捧げるに値するものだ。
【マスター】の話によると、この館は彼の別荘らしかった。
別荘がこの規模となると、本宅はどんな豪邸だよと思ったが、この際どうでもいい。
【マスター】なら何でもありだ。
白粉も、ド派手な扮装も。
あのサイトが営利目的でないのが不思議だが、彼は元々働かなくてもいい人種なのかもしれない。