【十の瞳】
遅れてやってきたタキさんを、そこに案内する。
彼女は、寝間着のまま恐縮していたが、こうなってはもうツアー客も使用人もないだろう。
僕はタキさんを説得して、何とかベッドもどきに寝て貰った。
落ち着かないかもしれないが、そこはお互い様だ。
元々応接室にあったテーブルや椅子を部屋の端に寄せて、そこを話し合いの場、もう反対の即席ベッド群を休憩所とした。
皆、屋敷に来る時に持ってきた鞄を運び込み、篭城モードになった。
ここで、救助隊を待つ。
唯一、気がかりなのは十二愛だったが、僕の説得と、蝶子までもが殺された事実に、もう引きこもってもいられないと諦めたらしい。
繋いだ手から、震えが伝わってくるが、彼女は勇気を出して、応接室に足を踏み入れた。
昨晩までとすっかり変わってしまった室内に戸惑っているようだったが、
「これなら、安全だよ。
犯人だって、誰にも危害を加えられない……」
「そうだね……」