【十の瞳】
(勝ち目が無いなら、本気なんて出さなくてもいいんだ……)
駄目人間思考。
でも、僕はそうやって力をセーブしつつ、のらりくらりと暮して来た。
今回のツアーも、気張らずに楽しもうと心に決めた。
自己紹介は、食事中に行なわれた。
席順の関係で、一番端に座っていた僕が、一番最初に立ち上がる羽目になった。
「えっと……はじめまして。
【コロ】といいます。
何だかんだ『紡ぎ車』歴は長いですが、今回は凄い方ばかり参加されてるので、緊張してます……どうぞ、よろしく」
どこからともなく、拍手が上がった。
次第に、全員に伝染していく。
案外、友好的な雰囲気だった。
僕が座ると、隣の青年がすくっと立ち上がった。
さっきから、何故か何度もフォークを落としていた、不器用そうな人だ。