【十の瞳】
「ファ……【ファニーペイン】で~す!
うわっ、自分で言うと恥ずいなチキショウ……ゴホン。
えっと、『紡ぎ車』は最近知りましたが、知ってからと言うもの、
そろそろ単位がやばいで~す……なんちゃって!」
能天気そうな、明るい青年だった。
単位、と言ったところをみると、学生か……。
明らかに茶髪だし、とても高校生には見えないので、間違いなく大学生だろう。
同い年くらいかもしれない。
彼が座ると、同時に綺麗な女の人が立ち上がった。
ゆるいウェーブのかかったポニーテールが、さらりと揺れた。
もともとの顔立ちが良い事が、充分に分かる薄化粧。
憂いを込めたその表情は、どこか神秘的でさえあったが……
彼女のファッションは、それらすべてを台無しにしていた。