【十の瞳】
どのカードがジジか分からないので、誰も表情を変えない。
なんとも、スリルに欠けたゲームだなぁと思った。
けれど……終盤にさしかかって、僕は異和感を覚えた。
その異和感は、不吉な予感へと変わる。
「あ、俺、あがり」
――僕の手元には、一枚、カードが残っていた。
一瞬の沈黙。
僕は、箱に隠された、最初の一枚を抜き取って、自分の持っていたカードと合わせて皆に見せた。
「僕、負けたみたい……」
はじめて負けた。
僕の手の中で、二人のジャックが嘲笑っていた。
トランプは、これでお開きとなった。