【十の瞳】








いやな鳴り方をする心臓を宥める余裕すらなく、僕は応接室に駆けた。
 

床に散らばったトランプの中に、十二愛が倒れていた。


苦しそうに、喉の辺りを手で押さえている。


その横で、ファニーが文字通りのお手上げ状態で固まっていた。
 

十二愛の呼吸の様子が変だった。
 

浅く短い呼吸。


会話もままならないらしく、彼女は目に涙をいっぱいに溜めて、口をぱくぱくと動かした。
 

――過呼吸だ!
 

直感的に思った。



「グースさん! 何でもいいからビニール袋ください! 


急いで!」



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