【十の瞳】
「あたま痛い……げほっ」
唾液が喉に引っかかったらしく、彼女はこんこんと咳き込んだ。
どうやら、大勢の人の中にいることが限界になってしまったようだった。
だいぶ、我慢していたのだろう。
息の仕方も忘れるほど。
こんな彼女を見て、茶化したり、演技なのではないかと言い出す人間はもういなかった。
「僕が……責任を持って、彼女を部屋に連れて行きます。
一人にさえしなければ、いいんでしょう?
僕たちは、お互いを監視し合います」
「そうだな……よろしく頼むよ、コロ君」
えどがぁさんの返事を合図に、僕は十二愛を抱え上げた。
彼女の体は、とても軽かった。