【十の瞳】
彼女は、まるで芋掘りにでも参加しに来たような格好だった。
あずき色のジャージだ。
おまけに胸元には『二中』という刺繍がされていた。
食事には「正装で」こそ言われなかったものの、
中にはスーツでばっちり決めている人すらいるのに、澄ました顔でジャージを着てしまう。
その精神構造が理解出来なかった。
……色んな意味で、凄い。
「【桜木蝶子】です。
特にありませんが、頑張ります……」
きらびやかな名前。
喋り方もとても落ち着いていて、声まで綺麗だった。
それだけに、ギャップがありすぎた。
ファニーペインなど、改めて彼女を見つめて、口をあんぐり開けて固まっている。
桜木蝶子は、優雅な仕草でお辞儀をして、着席した。